この記事では、難易度・アクセス・景色のバランスを考えて関東日帰り百名山を10座厳選しました。初めての百名山を探している方から、コレクションを増やしたい中上級者まで、参考にしていただける内容になっています。ぜひ次の登山計画に役立ててください。
筑波山 (つくばさん)
筑波山は、関東平野にぽつんと佇む独立峰。標高877mと百名山の中では最も低い山ですが、「西の富士、東の筑波」と並び称されるほど関東を代表する名峰です。
最大の魅力はアクセスのよさと多様なルート。ロープウェイやケーブルカーを使えば山頂直下まで一気に上がれるので、体力に自信がない方でも頂上の眺望を楽しめます。もちろん自分の足で登ることも可能で、御幸ヶ原コースや白雲橋コースなど複数のルートから選べます。
山頂は「男体山」と「女体山」のふたつのピークに分かれており、どちらからも関東平野を一望する大パノラマが待っています。晴れた日には富士山や東京スカイツリーまで見渡せることも。春は梅・桜、秋は紅葉と、四季を通じて楽しめる懐の深さも魅力です。
百名山デビューの一座として、これ以上ない山だと思います。登山後はつくば市内の飲食店でゆっくりするのもおすすめです。
赤城山 (あかぎやま)
赤城山は群馬県のシンボルともいえる火山。最高峰の黒檜山(くろびさん・1828m)を中心に、大沼・小沼というカルデラ湖を抱えた個性的な山容が特徴です。
黒檜山の山頂からは上州の山並みと関東平野を一望できます。特に「展望台」と呼ばれるスポットからの眺めは格別で、空気の澄んだ晴天時には富士山や日光連山まで見渡せます。
コースは黒檜山登山口から駒ヶ岳を周回するルートが定番。急登もありますが、距離はさほど長くなく3〜4時間で周回できます。湖畔の散策と組み合わせて半日〜1日で楽しむのがおすすめのプランです。
冬は樹氷が美しく、アイゼンを使った雪山ハイクも楽しめます。四季それぞれの顔を持つ、何度訪れても飽きない山です。
大菩薩嶺 (だいぼさつれい)
「2000m超の百名山に日帰りで登りたい」という方に真っ先に勧めたい山が大菩薩嶺です。上日川峠(1585m)まで車で上がれるため、実際に歩く標高差は500m足らず。体力的なハードルが非常に低いのに、景色は一流というコスパ抜群の山です。
圧巻なのは大菩薩峠から稜線を歩くときの景色。右手に南アルプスの白い峰々、正面に富士山という絶景が広がります。稜線上は遮るものがなく開放的で、晴れた日は本当に気持ちがいい。
中里介山の長編小説『大菩薩峠』の舞台としても有名で、峠には介山荘という山小屋もあります。山旅の雰囲気を味わいながらのんびり歩けるのも魅力のひとつ。
紅葉シーズンの10月は特に人気で駐車場が混雑することも。早朝出発がおすすめです。
丹沢山 (たんざわさん)
丹沢山は、新宿から最短で行ける百名山のひとつ。神奈川県最高峰エリアに位置し、都市近郊でありながらブナの原生林や豊かな生態系が残る本格的な山域です。
丹沢といえば塔ノ岳が有名ですが、百名山の頂は塔ノ岳のさらに奥にある丹沢山。塩水橋からのルートは静かで、ブナ林の中を歩く気持ちよさが格別です。山頂にはみやま山荘があり、テラスから丹沢主脈の稜線を一望できます。
標高差は約1100mとしっかりあり、体力が試されるルートです。ただしその分、登り応えと達成感は抜群。「近くて本格的」を求める登山者に愛される理由がよく分かります。
春はヤマビルに注意が必要ですが、冬から春(12〜4月)はヤマビルが少なく積雪の丹沢も楽しめます。近場でトレーニングを積みたい人にも最適な山です。
雲取山 (くもとりやま)
「東京都にある唯一の百名山」というキャッチフレーズで知られる雲取山。都内から日帰りできる2000m超の山として、多くの登山者に親しまれています。
鴨沢ルートは奥多摩の森の中を歩く気持ちのいいコース。七ツ石山を経由して雲取山荘へ至るルートは、急登が少なく歩きやすいことで知られています。山頂からは富士山・南アルプス・奥秩父の山並みが一望でき、「これが東京都!?」と驚くほどの大展望です。
日帰りだとコースタイムは10〜11時間とかなりのロングコース。体力に余裕があれば雲取山荘に一泊して翌朝のご来光を狙うのが最高です。日帰りの場合は早朝4〜5時出発を推奨します。
小説『鬼滅の刃』の主人公・炭治郎の出身地として有名になり、近年は若い登山者も増えています。
瑞牆山 (みずがきやま)
瑞牆山は百名山の中でも特に「見た目のインパクト」が強い山。麓から見上げると花崗岩の巨大な岩塔が林立する独特の山容が目に飛び込んできます。その景観は他の百名山とは一線を画し、まるで別の惑星にいるような感覚を味わえます。
登山道も面白く、奥深い森の中に突如現れる巨岩をくぐり抜けながら登っていきます。岩場も多いため、足元を楽しみながら歩けるルートです。山頂からは金峰山や八ヶ岳、富士山が見渡せる大展望が広がります。
瑞牆山荘からのルートは距離もさほど長くなく、4〜5時間で往復できるコスパの高さも魅力。体力的に余裕があれば隣の金峰山(百名山)と1泊2日で両方登るのも定番のスタイルです。
クライマーにも人気のエリアで、岩場では本格的なクライミングも楽しめます。
両神山 (りょうかみさん)
両神山は奥秩父に位置する、ギザギザとした鋭い稜線が特徴的な山です。遠くからでもひと目でそれと分かる個性的な山容は、関東の山の中でも際立っています。
日向大谷口ルートは両神神社への参道を歩くルートで、山岳信仰の歴史を感じながら登れます。清流沿いの道や急な尾根道を経て山頂へ。山頂の眺望は木々に遮られる部分もありますが、稜線の岩場からは奥秩父の山並みが一望できます。
山頂直下は鎖場もあり、スリルある岩場歩きを楽しめます。「百名山の中でも難しめ」と言われますが、ゆっくり慎重に歩けば中級者には問題なく登れます。難易度より達成感が大きい山です。
5月上旬には山頂付近でシャクナゲが咲き誇り、ピンクの花と険しい岩稜のコントラストが絶景。花の季節に訪れるのが特におすすめです。
谷川岳 (たにがわだけ)
谷川岳は「魔の山」という異名を持つほど険しい山として知られています。しかしロープウェイを使えば天神平(1319m)まで一気にアクセスでき、そこから山頂まで往復4〜5時間の日帰り登山が可能です。
山頂は「トマの耳」と「オキの耳」のふたつのピークからなる双耳峰。晴れた日の山頂からの展望は圧巻で、上越国境の山並みと眼下に広がる雲海は忘れられない景色になるはずです。
稜線上の眺めも素晴らしく、国境稜線を歩く開放感は他の山では味わえません。天神尾根は登山道が整備されていますが、岩場や鎖場もあるため、ある程度の登山経験があると安心です。
秋の紅葉シーズンは特に人気。10月初旬〜中旬の紅葉の時期はロープウェイも大変混雑するため、早朝の始発便を狙うのがベストです。
甲武信ヶ岳 (こぶしがたけ)
甲武信ヶ岳は、甲斐(山梨)・武蔵(埼玉)・信濃(長野)の三国の境に立つ奥秩父の盟主です。千曲川(信濃川)・荒川・笛吹川という三つの大河の源流を持つ、水の山でもあります。
毛木平からのルートは比較的歩きやすく、千曲川源流沿いを遡る渓谷歩きが魅力的。源流の最初の一滴が湧き出る場所に立ち寄ることができ、山旅の特別な体験になります。
山頂は展望が開けており、金峰山・国師ヶ岳・八ヶ岳・富士山など奥秩父・南アルプス方面の眺めが素晴らしい。静かな奥秩父の山並みを独り占めできる感覚は、メジャーな山では味わえないものがあります。
登山口へのアクセスはやや不便ですが、「山深さ」を感じたい人には強くおすすめしたい一座。百名山を重ねてきた頃に登ると、その良さがより分かる山です。
金峰山 (きんぷさん)
金峰山は奥秩父を代表する2599mの高峰。しかし日本最高所の車道峠・大弛峠(2360m)まで車でアクセスできるため、実際の標高差はわずか240m。2500m超の山頂に比較的楽に立てるのが最大の特徴です。
山頂のシンボルは高さ15mにも及ぶ「五丈岩」という巨大な岩塔。この岩は山頂からの展望と合わせて圧倒的なインパクトがあります。山頂からは富士山・南アルプス・八ヶ岳・北アルプスまで見渡せる360度の大パノラマが広がります。
大弛峠は舗装状態が悪い林道を走るため、車高の低い車は要注意。また開通期間が限られており(例年6月上旬〜11月中旬)、シーズン外は閉鎖されます。
瑞牆山とセットで1泊2日の縦走を楽しむ人も多く、富士見平小屋を拠点にした奥秩父周回は最高の山旅になります。「なるべく楽に高い山に登りたい」という欲張りな願いを叶えてくれる山です。